July 25, 2014
「ラインズ 線の文化史」 ティム・インゴルド 左右社 読了。

「ラインズ 線の文化史」 ティム・インゴルド 左右社 読了。

[High-Res]    13 notes    Tag: ティム・インゴルド© 左右社©

「ラッセンとは何だったのか?  消費とアートを越えた」原田裕規/編著 フィルムアート社 読了。

「ラッセンとは何だったのか?  消費とアートを越えた」原田裕規/編著 フィルムアート社 読了。

[High-Res]    23 notes    Tag: 原田裕規© フィルムアート社©

「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと」 チャールズ・ユウ 早川書房 読了。

「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと」 チャールズ・ユウ 早川書房 読了。

[High-Res]    32 notes    Tag: チャールズ・ユウ© 早川書房© 円城塔©

July 23, 2014

十六歳の奥歯に会ったとき、ぼくは今とちがう書店に勤めていた。書籍案内カウンターにいたぼくに、彼女は「『論理哲学論考』のPOPを書かれたのはどなたですか?」と尋ねてきたのだった。

「ぼくです」「少しお話してもいいです?」「いいですよ」

何分か話して彼女は「お仕事の邪魔ですね」と言って帰っていった。「今の誰?すっごいかわいいじゃーん」つんつん。同僚にからかわれているところに彼女は戻ってきて、「今日いっしょに帰っていいですか?」と言った。

それからぼくの早番の日に訪ねてきて、夕方から終電の時間まで喫茶店で話す、そういう日々が、彼女の大学入学まで続くことになった。

二人とも本が好きで、生まれてから過ごした日々をはるかに超える冊数を読んでいた。僕は現実で見つからないものを本の中に探して、本のなかにも見つからないもので喉元までいっぱいになっていた。そこにいきなり、本のなかにも見つからないものが、服を着て眼の前にあらわれたのだ。

膨大な対話を交わした。ただ話すだけの関係である、休日に連れ立ってどこかへ出かけたりすることもなく、たがいの家を訪ねることもなかった。

聴きとってくれるかも知れない誰かに出会って初めて、自分がなにを話したかったかに気付く。おたがい生まれて初めて話すことばかりで、話したいことを話せるようになるための準備が必要だった。ぼくはまだ呼び名のない概念を照合しあい、新しい用語を作りながら、話したい事に向かって変化していった。

彼女の心は問いに満ち溢れていた。「死ぬまでにあといくつ雪雪さんに質問できるんだろう」そうつぶやいて暗算をはじめ「あ、あぁ・・・ぜんぜん足りません!」と泣き顔になった。

「八本脚の蝶」 二階堂奥歯 ポプラ社 p422-423

   151 notes    Tag: 二階堂奥歯© ポプラ社© quote©

「八本脚の蝶」 二階堂奥歯 ポプラ社 読了。

「八本脚の蝶」 二階堂奥歯 ポプラ社 読了。

[High-Res]    32 notes    Tag: 二階堂奥歯© ポプラ社©

July 22, 2014
「マヤコフスキー事件」 小笠原豊樹 河出書房新社 読了。

「マヤコフスキー事件」 小笠原豊樹 河出書房新社 読了。

[High-Res]    18 notes    Tag: 小笠原豊樹© 河出書房新社© マヤコフスキー©

「世界の見方の転換 2 地動説の提唱と宇宙論の相克」 山本義隆 みすず書房 読了。

「世界の見方の転換 2 地動説の提唱と宇宙論の相克」 山本義隆 みすず書房 読了。

[High-Res]    14 notes    Tag: 山本義隆© みすず書房©

July 21, 2014
「想起のかたち 記憶アートの歴史意識」 香川檀 水声社 読了。

「想起のかたち 記憶アートの歴史意識」 香川檀 水声社 読了。

[High-Res]    14 notes    Tag: 香川檀© 水声社©

July 19, 2014
「世界の見方の転換 1  天文学の復興と天地学の提唱」 山本義隆 みすず書房 読了。

「世界の見方の転換 1  天文学の復興と天地学の提唱」 山本義隆 みすず書房 読了。

[High-Res]    36 notes    Tag: 山本義隆© みすず書房©

July 18, 2014
「ハーフィズ詩集」 ハーフィズ 平凡社 読了。

「ハーフィズ詩集」 ハーフィズ 平凡社 読了。

[High-Res]    9 notes    Tag: ハーフィズ© 平凡社©

July 17, 2014
「ピンチョンの動物園」 波戸岡景太 水声社 読了。

「ピンチョンの動物園」 波戸岡景太 水声社 読了。

[High-Res]    6 notes    Tag: 波戸岡景太© 水声社©

「大いなる不満」 セス・フリード 新潮社 読了。

「大いなる不満」 セス・フリード 新潮社 読了。

[High-Res]    29 notes    Tag: セス・フリード© 新潮社©

「援助職援助論  援助職が「私」を語るということ」 吉岡隆/編著 明石書店 読了。

「援助職援助論  援助職が「私」を語るということ」 吉岡隆/編著 明石書店 読了。

[High-Res]    4 notes    Tag: 吉岡隆© 明石書店©

July 16, 2014
「ドイツのロック音楽 またはカン、ファウスト、クラフトワーク」 明石政紀 水声社 読了。

「ドイツのロック音楽 またはカン、ファウスト、クラフトワーク」 明石政紀 水声社 読了。

[High-Res]    23 notes    Tag: 明石政紀© 水声社©

July 15, 2014

■第四章
『重力の虹』ー積分的救世主の降臨

■物語の概要
「重力の虹」の複雑に入り組んだ物語の中で、主人公と呼べるのはコミカルで愛すべき米軍中佐、タイロン・スロースロップだろう。ハーバード大学を出たスロースロップは、1944年現在、ロンドンに駐留して、ドイツ軍の科学技術情報を収集している。彼は、仕事の合間にロンドンの街のあちこちでナンパした女性とセックスをし、几帳面にも、地図上に星形のシールを貼ってその記録をつけている(後に、彼のナンパ列伝は空想のものだったらしいと判明する)。ところが、彼がセックスをした現場には、その2〜10日後に必ずV2ロケットが落ちてくるという奇妙な関係が存在する。彼の勃起とロケットとの間の関係に注目したのが、「ホワイト・ビジテーション」という施設に置かれたPISCES(「降伏促進心理諜報計画」の略、略号でなければ「魚座」の意)という団体である。PISCESには、パブロフ派心理学者で決定論者のエドワード・ポインツマン、そしてポインツマンと対立する統計学者で確率論者のロジャー・メキシコらがいる。ロジャー・メキシコには英国国防婦人隊員のジェシカ・スワンレイクという恋人がいる。

さて、「彼ら」(これはPISCESと言うより「国家、体制、権力」などに近い)が自分を追っていることを察したスロースロップは、「ゾーン」を目指して逃走し、自分の過去と何らかに関係を持つらしい謎のロケット00000(そしてそれを再現した00001)を探し始める。途中、ロケットマンのような衣装を着たり、ブタのヒーロー、プレハズンガのぬいぐるみを着たりして変装しながら、探求を始める。その過程で、彼は、ドイツのロケット開発に動員された科学者フランツ・ペクラーや、映画監督から闇商人に転じたドイツ人ゲルハルト・フォン・ゲル(またの名を「跳ね駒」)らと出会い、また、道中で出会うほとんどの主要な女性(ジェシカを除いて)と関係をもつ。リビエラで彼が巨大タコから救出する(これはカティエをスロースロップに近づけるためのポインツマンのシナリオなのだが)オランダ人スパイのカティエ・ボヘシウス、ソビエト軍情報部員ヴァスラフ・チチェーリンの恋人で見習い魔女のゲリ・トリッピング、元映画女優のグレタ・エルドマンとその娘ビアンカ(両親の虐待を受けている)、フランツ・ペクラーの元妻でマルクス主義者のレニ・ペクラー(売春婦として「ソランジを名乗る」)。

こうした探求の果てに、スロースロップは「分解する」(この言葉の意味については本論で論じる)。探求の過程で、彼は、自分が幼い頃条件反射の実験台として使われたことを知る。実験終了後に反射は解かれたのだが、逆に反射の解きすぎになったらしい。つまり、条件刺激の存在に反応しないという段階を通り過ぎて(作中の表現を借りるなら「0を超えて」)、不在(未来)の条件刺激に対して反応する体質になったらしい。実験を指揮したのは、ラズロ・ヤンフという科学・心理学者で、何らかの臭覚刺激とスロースロップの勃起とを条件反射結びつける実験だった。後にヤンフはイミポレックスGという「勃起性」プラスチック素材を開発し、これがロケット00000の「黒の装置」に使われていた。00000の開発を指揮したはヴァイスマン大佐(コードネームはブリセロ)で、彼は部下であるゴッドフリート青年を愛し、この青年にイミポレックスG製の絶縁スーツを着せてロケットで打ち上げることによって死を超越するという神秘的考えに取りつかれていた。ヴァイスマンは、以前にドイツ領の南西アフリカでエンツィアーンというヘレロ族青年を愛し、ドイツに連れ帰ったのだが、エンツィアーンは仲間のヘレロ族らと共にヴァイスマンのもとを離れ、「黒の軍団」として独自の活動を始めた(エンツィアーンはチチェーリンの異母兄弟であり、黒人兄弟の存在を認めないチチェーリンはエンツィアーン殺害をもくろむ)。黒の軍団は、打ち上げに失敗したV2ロケットの残骸を集めて、ロケット00001を作ろうとしている。ロケット00000は45年4月1日(エイプリルフール、復活祭の日)に打ち上げられたらしいが、ヴァイスマンのその後は明らかではない。ロケット00001は打ち上げられたかどうかさえ分からない。

多義的解釈を許す、以上のようなプロットを、印象的な挿話の群れがさらに何重にも取り囲んでいる。すなわち 17世紀モーリシャス島に渡ったカティエの祖先のオランダ人は、島のドードー鳥を絶滅にいたるまで殺す。フランツ・ペクラーは、収容所に入れられた娘イルゼとの面会を年に一度だけ許可されるが、それが実の娘なのか、昨年と同じ少女なのか、ということさえ、分からなくなる。そのペクラーは、死体の山と化したドイツの収容所跡で、見知らぬ瀕死の女性に結婚指輪を「家に帰る汽車賃にでも」と与える。ロシア人チチェーリンは黒人ヘレロ族の異母兄弟エンツィアーンを殺すために黒の軍団を追い、いよいよ二人が出会った時、見習い魔女のゲリ・トリッピングの愛の魔法によって、チチェーリンは目の前にいる男がエンツィアーンだと気づくことができず、そのまま二人は別れる。PISCESの指揮官プディング准将はかつて第一次世界大戦の戦場で死なせた部下に対する贖罪として、「夜の女王」に扮したカティエとのスカトロジカルなSMの儀式に溺れ、大腸感染で死ぬ。ゾーン・ヘレロの「抜け殻」派リーダー、ヨーゼフ・オンビンディは民族自決を主張し、エンツィアーンと対立する。米陸軍化学兵器情報部隊デュエイン・マーヴィー少佐は、気球に乗ったスロースロップと飛行機対気球のパイ投げ合戦を演じたりしながら彼を追うが、最後にはPISCESのエージェントにスロースロップと勘違いされて、去勢されてしまう。不滅の電球バイロンは、多国間白熱電球カルテル「フォイボス」に対する戦いを挑む。

「トマス・ピンチョン 無政府主義的奇跡の宇宙」 木原善彦 京都大学学術出版会 p67-70

   24 notes    Tag: トマス・ピンチョン© 木原善彦© 京都大学学術出版会© quote©