ホワイトハウスは、明白にほかのノイズバンドとちがう。ノイズといっても、ほかのバンドはロック的な開放感で成り立っている。ジミヘンのギターパートが延々続いていくようなものだ。しかし、ホワイトハウスの音を聴いてると、首を絞められながらも、外に向かわずに中に行くようなどんどん内に行くような、妙な開放感がある。
あえて説明しておけば、僕の好きだったノイズバンドは予測不可能なフレーズを楽しむのではまったくない。むしろ短調で、予想道りのことしか起こらずに、聴いてると何が楽しくてこんなことやってるのか、というハテナマークが出てくる。だから面白いのだ。構成が生まれれば単調さは消えてしまう。
でもあのバンドが日本でウケるという状況は、まったくありえない、今でも同じく、まったくだれも聴いていない。だから、親は心配しただろう。何しろ、ずっと部屋にこもって爆音で聴いていたのだから。一時期あの一柳展也がホワイトハウスマニアだったという噂が事件の当時からあった。この噂は絶対に嘘だ。
学校の友達にも、ホワイトハウスを好きどころか、知っている人もいない。出入りしていたレコード屋のアンちゃんと話をするぐらいだった。とにかく、暗い情念が渦巻いている日々だった。よく殺人衝動が起きなかったものだが、実は、ありえない。本当の暗いものが好きな人は人を殺さない。極端なところに行く人間は、現実の行動が伴わない。世界のすべてに憎悪を込めてホワイトハウスを聴けば、黒いものがすべて発散された。
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