October 24, 2008
 「魂」は「人間」と同義語にも使いますね。ロシアのゴーゴリの長編小説に「死せる魂」というのがあります。たいそうロマンティックな表題で、若い頃に表題に惹かれて読みましたが、要するに「魂」とは「人間」ということだったんです。だから「死せる魂」とは、死人のこと、しかも複数です。さらにまた、幽霊人口のことだった。農奴がいる。かなり粗雑な戸籍だったらしい。死んでも抹消されない農奴がいたそうです。そういう農奴の戸籍を掻き集めて、頭かずをそろえて、領主の身分を偽って高級詐欺を働くという、一種の冒険小説なんですけれども、せっかくの表題だから綺麗に訳しちまったのでしょうね。
「ロベルト・ムージル」 古井由吉 岩波書店 p188

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