January 23, 2012

六十九年二月二十一日、日比谷公会堂では午後五時から
「全国労学市民連帯集会」が開かれていた。
七時すぎ、予定されていた報告がひと通り終わった頃
突然歯切れのよい司会者の報告。
「ただ今全共闘の山本くんが官憲の網を突破して到着しました・・・・」
逮捕状が出て潜行していたが、巧みな演出で
久しぶりに山本義隆が壇上に姿を表した。
彼はそこで、延々四十分にわたる長い演説を行った。
きちんと食事がとれているのか、運動不足のせいか、
彼がいくらか肥えて、白いつややかな顔色をしている。
控え室で椅子に座る彼の背後から
「山本、覚悟してくれ」という声がかかった。
彼は静かにうなずく。
そして私に「カミさんによろしく言ってくれ」と、ひとこと言った。


一九六十九年9月5日、潜行二百二十七日目。
日比谷野外音楽堂、有楽門にて公演前に
山本義隆は逮捕される。

「東大全共闘1968-1969」  渡辺眸 新潮社

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「彼、何やら、全共闘とかいうのの代表になったらしいねん」と
美智代さんが淡々と言った。
ある日、安田講堂にこもる義隆さんに
彼女が着替えを届けに行くというので、同行した。
アパートで見る、学者風な相貌とはまったく異質な
いくぶん痩せや義隆さんがそこにいた。
安田講堂は騒然としていたが、
机、椅子などは機能的に配置されている。
ガリ版を切るもの、大きな身ぶりを挟んでケンケンゴウゴウの議論をする者、
チラシを読む者、ずっと前からそうしてるように、漫画本に熱中する者。
長椅子をベッドにして、布団の中から規則的にひびく寝息。
教室とは違う、闘うための生活空間があった。

私の中に内在していた反骨精神やユートピア志向が
外へ引き出されていくような気がした。
美智代さんのパートナーとして見かける彼と
安田講堂という闘争の拠点で日常を過ごす彼。
本来なら非日常である学生運動が、いつのまにか日常になっていることに、
撮るという欲求を掻き立てられたのも確か。

「東大全共闘1968-1969」  渡辺眸 新潮社

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「東大全共闘1968-1969」  渡辺眸  			新潮社 読了。

「東大全共闘1968-1969」  渡辺眸 新潮社 読了。

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